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推薦図書「電車の運転」

このところ更新が滞っていたが、思わず筆をとりたくさせたのが、中公新書の最新刊「電車の運転」宇田賢吉著、である。

書店でタイトルを見た瞬間、「やられなあ」と思った。鉄道の本は多数出版されているが、運転に焦点を絞った本は意外と少ないからだ。

また、読んでいる途中で気がついたのだが、筆者の宇田氏は、鉄道ファンに連載された「鉄路100万キロ走行」の筆者でもあり、運転状況の描写に関しては文字通り右に出るものはいない達筆な方である。

よくぞこのテーマでこの人が書いてくれた、と思った。そして一気に読破してしまった。

私も、運転関係は特に興味があり、専門誌などでも努めてその手の記事は読むようにしているが、これだけ運転に関する具体的に説明した本はなかった。

例えば、ブレーキの操作に関する記述。ブレーキ開始時点の判断、衝動の抑制、停止目標との関係、車両特性による差異、電気・空気ブレーキの特性、などとても具体的だ。それだけにある程度のマニアの方でないと完全な理解は難しい面もあるが、それにしても今まで知りたくてもわからなかった問題を一気に解決してくれた。

鉄橋のようにバラストなしに枕木を直に敷設したところは走行抵抗が大きい、とか、電車で単線で駅で交換しても同時に発車すると起動電力が集中し変電所に負担がかかるので、わざと一方の発車を遅れさす、といったことはこれまでなぜだろうとは思っていたが、解答がわからないまま、謎であった。

また運転時間を詰めるためにはブレーキを極力常用最大近くまで使い、かつ衝動を避ける必要があることなどは、運転ゲームでも体感できたことなので実感できた。また、意外に思ったのは、マスコンのノッチがVVVF化されても、加速度自体は変わらないで到達速度だけが変わるのは問題であるという指摘だ。確かに、自動車のアクセルとは異なり、低いノッチを使っても、起動加速度は変わらず、空転が起こりやすい場合でも加速度だけを少しゆるめるということができない。ただ、技術的には抵抗制御の頃とは異なり、インバーターのプログラムを変えれば限流値の設定を変えるのは自由自在であり、可能であるのだ。

このように、全編、運転の実践論に満ちていて、一度は電車を運転してみたいと思っている方には一読を強く勧める。

5/24日記

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