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タイタニックから生還した日本人の手記

かのタイタニック号に乗り合わせ、奇跡的に生還した日本人が一人いた。その人が事件直後に、タイタニック号備え付けの便せんに書き残したなまなましい手記が、横浜マリタイム・ミュージアムの特別展で展示されていた。

国鉄から、欧州留学に派遣された、細野氏は、帰国途中、タイタニックに二等船客として乗り込んだ。事故の夜も、衝撃と停船には気がついたが、まさか沈没するとは夢にも思わず、船室にいたところ、船員にたたき起こされる。あわてて着衣を整え、外に出ると、大騒ぎになっている。生命の危機を感じるが、いままさにおろされそうになっていた救命ボートに乗り込み、救出に来た客船に救助される。

この間の描写は、大変生々しい。乗客は落ち着いて行動していたこと、三等客と間違えられて、下部甲板にいかされそうになったこと、しきりと救難信号を打ち上げていたこと、船体が沈む瞬間は大音響がしたこと。

そこには、船旅を楽しんでいた一人の乗客が一瞬にして災難に巻き込まれた状況が克明に書かれている。そして、当然のことながら、細野氏の立場は、「被害者」である。

展示ではふれられていなかったが、帰国後、細野氏は、女子・子供優先の救命ボートに乗ったことを非難されたという。国鉄も辞め、不遇な生涯をおくったらしい。

でも、それはおかしいと思う。日本国民の名誉のために、潔く船に残れ、と誰が命令できよう。事故後100年を経て公開された手記は、まさしく、脚色もない、正直に一被害者としての経験を綴ったものである。氏の名誉回復が図られることを望む。

2/27日記

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コメント

当時ある程度金を持った日本人だったんだろう。それにもかかわらず、女子供を救助することをせず、自分が我先に救助ボートに載るとは本当に情けない人間だったのだ。日本人の代表のような人間だ。汚い人間。生きている価値はない。

投稿: | 2013.09.30 15:00

カナダに居住するものです。昨年9月に私のワイフが帰国したとき、彼女の弟から聞いた話で、、、
ワイフたちの叔父になる人のワイフは細野さんの孫娘です。今も生きていますが病床にあると言っていました。戦時中は彼女の両親は朝鮮で仕事、彼女は東京のおじいさん(細野)に引き取られ一緒に生活をしていました。

投稿: 土田 | 2012.01.14 03:01

ユリケンヌさん、コメントありがとうございます。

手記を読むと、細野氏は、大変知的な方だとお見受けしました。当時は今と違って、人種差別が当然のように行われていて、その偏見の被害にあってしまった、ということでしょうか。

Primera

投稿: Primera | 2005.03.21 01:01

初めまして。生還された細野氏に対しての国鉄の仕打ちはあまりにもひどいですね。しかも誤解されて。悲しいことです。

女子・子供優先の救命ボートに乗ったことを非難された

こういうとき自分の命がまさに危機に陥っているというのに男性がその救命ボートに乗ってはいけないのでしょうか。日本人の名誉のためゆえに命を落として良いものなのか。難しいことですね。
私も細野氏のこれからの名誉回復を祈ります。

投稿: ユリケンヌ | 2005.03.15 15:52

パルプンテのぶさん、コメント&トラバありがとうございます。

中国人の密航者と間違われてしまったとは、本当に運命のいたずらというか、不幸なことでしたね。

手記を読むと、純粋に、「優雅な船旅を楽しむつもりだったのに、大事故に巻き込まれて、大変だった」、という感想が伝わってきます。

Primera

投稿: Primera | 2005.03.11 00:48

すみません、書き忘れました。
TBさせていただきました。

投稿: パルプンテのぶ | 2005.03.10 12:41

はじめまして!
>氏の名誉回復が図られることを望む。
元々細野氏が批判されたのは、生存者の手記で、
「ボートに無理やり乗った東洋人がいた」という報告からです。
これをイギリスが公式な記録として取り上げ、日本も認めたので、「日本人にあるまじき行為。恥を知れ」と非難されたからです。
細野氏も一切言い訳をせず、そのまま亡くなったそうです。
当時の鉄道省は、「そんな卑怯者を雇う鉄道省も恥を知れ」という非難が来て、実質細野氏はクビです。
なお、この報告は1997年にタイタニック財団が細野氏の手記を下に分析し、間違いであったと認められ、遺族に正式に謝罪しています。
報告書にあった「東洋人」は、今は中国人密航者であることはほぼ確実です。
事実、生存者の中に、「乗船記録」にない中国人もいたことがわかってます。

投稿: パルプンテのぶ | 2005.03.10 12:39

macさん、コメントありがとうございます。そうです。元YMOの方です。よくご存じですね。

今は絶版になって入手できないタイタニックに関する文庫本に、同氏が解説を書かれているとか。読みたかったです。

Primera

投稿: Primera | 2005.03.06 23:34

元YMOの細野一臣氏のお祖父さんでしたよね。
タイタニックは映画や小説にもなりましたが、それを上回る洞爺丸はあまり取り上げられませんね。

投稿: mac | 2005.03.05 11:03

こんばんは。
今日は寒かったですね。
映画に関して、
私が一番敬愛する俳優
モーガン フリーマンが
助演男優賞を受賞。
彼の作品のVIDEO DVDを
揃えているのです。
久々に嬉しいニュースでした。

投稿: 富士見ヶ丘跨線橋 | 2005.03.01 19:58

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